名探偵コナン映画2010年代完全ガイド｜怪盗キッド・安室・赤井が彩る10年の進化と名作たち

2010年代の『名探偵コナン』劇場版は、シリーズの枠を超えた挑戦と深化が随所に見られる黄金期とも言える時代でした。

怪盗キッドとの空中戦から始まり、雪山でのサバイバル、Jリーグとのコラボレーション、国家機密に迫るスパイ戦、都市型狙撃事件、美術品を巡る知的対決、黒ずくめの組織との直接対峙、百人一首に彩られた恋模様、司法制度を巻き込んだ社会派サスペンス、そしてシンガポールを舞台にした国際的陰謀まで、各作品はそれぞれ異なるテーマと舞台設定を持ち、観客に新鮮な驚きと感動を届けてきました。

コナンの推理力と行動力はもちろん、平次や安室、赤井、キッドといった人気キャラクターたちの活躍も物語に厚みを加え、ファン層の拡大に貢献しました。

また、主題歌にはB'z、倉木麻衣、福山雅治など豪華アーティストが参加し、作品の世界観を音楽面からも強く印象づけています。

この10年間の映画は、単なるエンタメにとどまらず、文化・芸術・社会・国際情勢といった多様な要素を巧みに織り交ぜながら、名探偵コナンという作品の可能性を押し広げてきました。

今改めて振り返ることで、各作品が持つ独自の魅力と、時代背景とのリンクを再発見できるはずです。

NO.	公開年	映画タイトル	あらすじ	主題歌名	主題歌歌手名	ゲスト声優
1	2010年	天空の難破船（ロスト・シップ）	空飛ぶ豪華飛行船で起きたウイルステロ事件に立ち向かうコナンと怪盗キッドは、空中での頭脳戦とアクションを繰り広げながら真犯人を追い詰めます。	Over Drive	GARNET CROW	沢村一樹
2	2011年	沈黙の15分（クォーター）	新潟のダム爆破事件の裏に隠された政治的陰謀と雪山でのサバイバルを描き、コナンは記憶を失った少年の過去を辿りながら真相に迫ります。	Don't Wanna Lie	B'z	渡部陽一、宮根誠司
3	2012年	11人目のストライカー	サッカー場で起きた爆破事件の謎を解くため、コナンはJリーグ選手たちと協力しながら、犯人のメッセージに隠された暗号を読み解いていきます。	ハルウタ	いきものがかり	サッカー選手多数（遠藤保仁など）
4	2013年	絶海の探偵（プライベート・アイ）	イージス艦で起きたスパイ事件に挑むコナンは、自衛隊の機密と国家の安全を守るため、海上での緊迫した推理とアクションを展開します。	One More Time	斉藤和義	柴咲コウ
5	2014年	異次元の狙撃手（スナイパー）	高層ビルからの狙撃事件を追うコナンは、FBIと協力しながら、犯人の過去と復讐の動機に迫り、都市を舞台にした銃撃戦に挑みます。	ラブサーチライト	柴咲コウ	福士蒼汰
6	2015年	業火の向日葵	ゴッホの「ひまわり」を巡る美術品盗難事件に挑むコナンと怪盗キッドは、芸術と犯罪が交錯する中で、絵画に隠された真実を暴いていきます。	オー！リバル	ポルノグラフィティ	榮倉奈々
7	2016年	純黒の悪夢（ナイトメア）	記憶を失った黒ずくめの組織の女性を巡る攻防の中で、コナンは公安警察と協力しながら、組織の核心に迫る危険な戦いに挑みます。	世界はあなたの色になる	B'z	天海祐希
8	2017年	から紅の恋歌	大阪と京都を舞台に、百人一首大会中に起きた爆破事件の真相を追うコナンと服部平次は、自称婚約者の登場に揺れる和葉との関係にも向き合いながら、恋と謎に挑みます。	渡月橋 〜君 想ふ〜	倉木麻衣	宮川大輔、吉岡里帆
9	2018年	ゼロの執行人	東京サミット会場で起きた爆破事件の容疑者として毛利小五郎が逮捕され、コナンは公安警察の安室透と対立しながらも、真相と国家の陰謀に迫ります。	零 -ZERO-	福山雅治	なし
10	2019年	紺青の拳（フィスト）	シンガポールを舞台に、怪盗キッドと京極真が絡むブルーサファイアを巡る事件に挑むコナンは、現地での推理と格闘を通じて国際的な陰謀を暴いていきます。	BLUE SAPPHIRE	HIROOMI TOSAKA（三代目JSB）	山崎育三郎

「名探偵コナン映画　２０１０年代」について、上記にまとめました。

以下に具体的に説明します。

1.『天空の難破船（ロスト・シップ）』(2010年公開)について

『名探偵コナン天空の難破船（ロスト・シップ）』は2010年に公開されたシリーズ14作目の映画で、怪盗キッドとコナンが同じ舞台で活躍することで大きな注目を集めました。

物語は大阪の鈴木財閥が所有する世界最大級の飛行船を舞台に展開し、怪盗キッドが目玉である宝石を狙う一方、細菌兵器を持つテロリスト集団「赤いシャムネコ」が飛行船を占拠する事態となります。

飛行船の中には蘭や園子も乗り込んでおり、テロリストの脅威にさらされながらも、コナンと平次が協力して立ち向かう姿が描かれました。

シリーズでは珍しく怪盗キッドが物語の中心人物となり、彼の変装術や大胆な行動が見どころのひとつとなっています。

また、蘭とキッドの関わりや、コナンとキッドの対決も緊張感を高めています。

本作はアクションとサスペンスに加え、キャラクター同士の関係性も丁寧に描かれており、観客から高い評価を受けました。

公開当時はシリーズ累計の観客動員数をさらに押し上げるヒットとなり、怪盗キッドファンにとっても忘れがたい作品となっています。

2.『沈黙の15分（クォーター）』(2011年公開)について

2011年に公開された『名探偵コナン沈黙の15分（クォーター）』はシリーズ15周年記念作品で、雪山を舞台にしたサスペンス色の強い物語です。

冒頭では東京の地下鉄爆破事件が描かれ、コナンの活躍で多くの命が救われます。

その後、事件の背景を追う中で新潟県妙高市にあるダム建設地域が物語の中心となり、ダム完成に伴う村の移転にまつわる複雑な人間模様が浮かび上がります。

スキー場での少年探偵団の行動や、雪崩に巻き込まれた子どもたちを救う緊迫したシーンなど、雪国ならではのシチュエーションが迫力を生み出しています。

クライマックスではダムの水門を利用した15分間の攻防が描かれ、タイトルの「沈黙の15分」に繋がっています。

人間の欲望や過去の因縁が複雑に絡み合いながらも、最後には真実が明らかとなり、コナンの冷静な推理が光ります。

本作は雪山を舞台にした映像美も特徴で、自然の脅威と人間の業を対比させた印象的な作品となりました。

3.『11人目のストライカー』(2012年公開)について

『名探偵コナン11人目のストライカー』は2012年に公開された16作目の映画で、サッカーをテーマにした作品です。

当時のJリーグや日本代表の人気を背景に、スタジアムを舞台とする爆破事件が物語の中心に据えられました。

サッカースタジアムで爆破予告が届き、コナンと少年探偵団が観客を救うため奔走する姿が描かれています。

物語には実在のサッカー選手が声優として登場しており、遠藤保仁や中村俊輔といった当時のスター選手が特別出演した点も話題を呼びました。

事件の謎は「サッカーに関する暗号」として仕掛けられており、コナンが論理的に解き明かしていく過程がスリリングです。

また、蘭や園子、少年探偵団も活躍し、観客を守るために必死に動く姿が感動を誘います。

犯人の動機には家族への想いが関わっており、スポーツを通じた人間ドラマとしての一面も評価されました。

本作は子どもから大人まで楽しめる内容で、サッカー好きのファン層を取り込むことで、シリーズの新しい魅力を広げた作品とされています。

4.『絶海の探偵（プライベート・アイ）』(2013年公開)について

2013年公開の『名探偵コナン絶海の探偵（プライベート・アイ）』は、自衛隊のイージス艦を舞台にした異色の作品で、国家規模の陰謀が描かれました。

舞鶴港を出港したイージス艦で、正体不明のスパイの存在が発覚し、コナンがその正体を追い詰めることになります。

普段のシリーズでは民間の事件が多い中、本作は国家安全保障が絡む緊張感ある展開となり、大人の観客からも注目を集めました。

艦内ではハイテク機器や軍事要素が多数登場し、シリーズとしては珍しいリアリティが演出されています。

また、蘭がスパイに命を狙われる場面や、コナンが艦内での限られた情報を駆使して真相に迫るシーンは大きな見どころです。

物語の中では自衛隊の協力による本格的な艦艇描写も話題となり、リアルな軍事描写と推理要素が融合しました。

本作はシリーズ最高の興行収入を当時記録し、社会的な話題作となりました。

5.『異次元の狙撃手（スナイパー）』(2014年公開)について

『名探偵コナン異次元の狙撃手（スナイパー）』は2014年に公開された18作目で、FBI捜査官たちとコナンの共闘が描かれるスケールの大きな物語です。

東京のベルツリータワーで起きた狙撃事件を発端に、国際的な陰謀へと発展していきます。

狙撃犯を追う過程で、赤井秀一やジョディらFBIメンバーが登場し、シリーズファンにとっては待望のキャラクター共演が実現しました。

犯人は軍に所属していた元狙撃手であり、復讐心と過去の因縁が事件の動機となっています。

都市の高層ビル群を背景にした狙撃戦や、観覧車での緊迫したシーンなど映像的にも迫力満点で、シリーズの中でも特にアクション性が強い作品といえます。

また、蘭や少年探偵団も事件に巻き込まれ、仲間を守ろうとするコナンの姿が印象的です。

本作は公開時にシリーズ歴代最高の興行収入を記録し、国内外で高い人気を博しました。

6.『業火の向日葵』(2015年公開)について

2015年に公開された劇場版『名探偵コナン業火の向日葵』は、ゴッホの名画「ひまわり」をめぐる美術ミステリーとして注目を集めました。

物語はニューヨークのオークションで「ひまわり」が落札される場面から始まり、その絵画が日本に運ばれる過程で怪盗キッドが登場し、事件の渦中にコナンが巻き込まれていきます。

本作では美術品の真贋を巡るサスペンス要素が強く、さらにキッドとコナンの頭脳戦が作品全体を盛り上げています。

舞台は美術館や空港などスケールの大きなロケーションが用意され、映像美と緊迫感が同時に楽しめる仕上がりとなっています。

特に「守り抜かれるべき芸術」と「盗み取る美学」という相反するテーマが交錯し、観客に芸術の価値とは何かを問いかける内容になっています。

また、怪盗キッドがコナンのライバルとしてどのように立ち回るかが見どころであり、ファンにとっては記憶に残る対決となりました。

7.『純黒の悪夢（ナイトメア）』(2016年公開)について

2016年に公開された『名探偵コナン純黒の悪夢』は、シリーズの中でも特にシリアスでスリリングな作品として知られています。

本作は、黒ずくめの組織が直接的に大きく関わるストーリーで、観覧車での壮絶なアクションシーンが印象的です。

物語は警察庁からスパイリストが盗まれる事件から始まり、記憶を失った女性が登場することで物語は加速していきます。

その女性の正体が組織に関わる重要な鍵を握っているため、コナンと仲間たちが彼女を守ろうと奔走します。

安室透と赤井秀一という人気キャラクターが激突する展開は、ファンの間で語り継がれる名場面となりました。

さらに黒の組織の恐ろしさが描かれたことで、シリーズ全体の世界観が大きく広がり、作品の重要なターニングポイントとなっています。

アクションとサスペンスの融合が際立ち、スピード感のあるストーリー展開が最後まで緊張感を保ち続けました。

8.『から紅の恋歌』(2017年公開)について

2017年公開の『名探偵コナンから紅の恋歌』は、百人一首を題材にした和の雰囲気あふれる作品です。

舞台は大阪と京都で、平次と和葉の関係が物語の中心に据えられています。

冒頭から爆破事件が発生し、そこに百人一首をめぐる謎と因縁が絡み合い、事件は次第に大きな広がりを見せていきます。

本作では平次が命をかけて和葉を守る姿が描かれ、二人の関係性に大きな進展があるのも見どころです。

また、百人一首の深い知識や日本の伝統文化が巧みに取り入れられ、ただの推理劇ではなく文化的な魅力も感じられる内容となっています。

クライマックスのカルタ対決では映像の迫力も相まって観客を惹き込み、恋と謎解きの両方を楽しめる作品に仕上がりました。

感情豊かな展開が多くの観客の心に残り、ファンの間でも高い人気を誇る一作です。

9.『ゼロの執行人』(2018年公開)について

2018年に公開された『名探偵コナンゼロの執行人』は、安室透が大きくフィーチャーされた作品であり、社会派サスペンスとしても評価されています。

物語は東京サミット会場での爆破事件から始まり、なぜか毛利小五郎が容疑者として逮捕される展開に衝撃を受ける観客も多くいました。

コナンは小五郎の無実を証明するため奔走し、やがて公安警察、検察、弁護士といった現実的な司法の仕組みが複雑に絡み合うストーリーが展開されます。

安室透は公安警察の立場から事件に関わり、その信念と行動がコナンとの関係性を深める重要な要素となっています。

都市の大規模施設を舞台にした迫力あるアクションと、リアルな司法制度の描写が融合し、シリーズでも異色の社会派作品として高く評価されました。

また、安室の人気を決定的なものにした作品でもあり、ファンからの支持を大きく集めました。

10.『紺青の拳（フィスト）』(2019年公開)について

2019年公開の『名探偵コナン紺青の拳』は、シリーズ初めて海外であるシンガポールを舞台に描かれた作品です。

世界最大のサファイア「紺青の拳」をめぐり、怪盗キッドと京極真が対決するという豪華な構図が話題となりました。

シンガポールの美しい街並みやリゾートホテルが舞台として活かされ、観光的な魅力も同時に楽しめる内容です。

物語は、怪盗キッドが宝石を狙う中で殺人事件が発生し、コナンもまた現地で事件解決に挑むという展開で進んでいきます。

特に格闘最強キャラクターの京極真が大活躍し、圧倒的なアクションシーンが作品を彩りました。

さらにコナンと怪盗キッドの関係性も見どころで、頭脳戦と肉体戦の両方が繰り広げられる点が特徴です。

異国情緒漂う背景と豪快なバトルの組み合わせが新鮮で、多くの観客を魅了しました。

まとめ

2010年代の『名探偵コナン』劇場版は、シリーズの進化と挑戦が凝縮された10作品で構成されており、それぞれが異なるジャンルや舞台を通じて、コナンの魅力を多角的に描いてきました。

怪盗キッドとの共演やFBIとの連携、公安警察との対立、さらには百人一首や美術品、サッカー、国家機密など、物語の幅は年々広がりを見せ、観客の期待を常に上回る展開が続きました。

特に、安室透や赤井秀一といった人気キャラクターの登場は、ファンの熱量を一層高め、劇場版ならではのスケール感と緊張感を生み出しています。

また、主題歌に起用されたアーティストたちの楽曲は、物語の余韻を深める重要な要素となり、作品の記憶を音楽とともに刻み込んでいます。

これらの映画は、推理やアクションだけでなく、文化的背景や人間ドラマを丁寧に描くことで、単なる娯楽作品を超えた深みを持つシリーズへと成長しました。

10年という時間の中で、名探偵コナンは時代とともに歩みながら、常に新しい挑戦を続けてきたのです。

今後の展開を予測するうえでも、この10作品を振り返ることは、シリーズの本質を理解する貴重な手がかりとなるでしょう。